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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【シンポジウム】
子宮内膜症のホルモン療法


百枝 幹雄
聖路加国際病院女性総合診療部


 子宮内膜症の発症には月経が,またその進展にはエストロゲンが強く関与しているため,これらを制御するホルモン療法は子宮内膜症に対して合理的な治療法である.用いられる薬剤には,1960年代から用いられたエストロゲン・プロゲスチン配合薬(EP配合薬)やプロゲスチン,1980年代に開発されたダナゾールやGnRHアゴニスト,そして近年登場した低用量EP配合薬,ジエノゲスト,レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS),さらに今後子宮内膜症への適応が検討されているGnRHアンタゴニスト,選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM),選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM),アロマターゼ阻害薬などの多くの種類がある.これらの薬剤の子宮内膜症に対する薬理効果には,排卵や月経の抑制,血中あるいは局所のエストロゲンレベルの抑制による間接的な効果と,病巣に対する直接的な効果があると考えられ,治療目的に応じて各薬剤の特性を勘案した上で選択とタイミングを決定することになる.本シンポジウムでは,これらの薬剤の中から,現在,子宮内膜症を適応として承認されている薬剤について各々の特性を整理し,子宮内膜症の治療における使い方,使い分けを考えたい. まず,GnRHアゴニストやダナゾールは自他覚所見に対する高い有効性により1980年代から子宮内膜症治療薬の主流であったが,各々の副作用によりいずれも投与期間が制限されている.一方,子宮内膜症は薬物療法,手術療法のいずれを用いても高率に再発し,少なくとも閉経までの長期の管理が必要であるため,薬剤としては長期に安全に使用できることも重要である.そこで,本邦では1999年に低用量ピルが解禁になった以降,子宮内膜症に対する低用量経口避妊薬の使用が普及してきた.このような状況の中で,2008年に子宮内膜症の治療薬としてジエノゲスト(ディナゲスト)と,エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合薬(ルナベル)が発売された.これらの薬剤はともに長期投与が可能であり,子宮内膜症の症状緩和だけでなく子宮内膜症の術後再発予防にも有効であることが明らかとなって,子宮内膜症の長期管理に福音をもたらした.さらに2010年には器質性,機能性を問わず月経困難症に対して適応を有するエチニルエストラジオール・ドロスピレノン配合薬(ヤーズ)が発売され,ルナベルも機能性月経困難症の追加効能が承認された.これにより子宮内膜症が明らかでない月経困難症に対してもEP配合薬を保険適応することが可能になり,子宮内膜症の治療だけでなく発症予防にも貢献できることが期待される.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 158-158, 2011


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