関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
妊娠第3三半期に肝機能障害を伴い,急性妊娠性脂肪肝との鑑別に苦慮した一過性下垂体性尿崩症の1例


河原 且実, 秦 恵里子, 村岡 光恵, 高木 耕一郎
東京女子医科大学東医療センター産婦人科


【緒言】妊娠に合併する尿崩症は稀であり,多くの症例は妊娠後期に発症し一過性である.一過性尿崩症のほぼ全例に肝機能障害を認めるとする報告もあるが,機序は解明されていない.妊娠第3三半期に肝機能障害を伴って発症し,HELLP症候群や急性妊娠性脂肪肝(AFL)との鑑別に苦慮した一過性尿崩症の1例を経験した.【症例】36歳初産婦.妊娠33週,口渇,多飲,多尿出現.妊娠35週2日口渇増強,倦怠感,嘔気出現し,入院.飲水量 5 L/日,尿量 4.6 L/日,血漿浸透圧は295 mOsm/lと高値.尿浸透圧は79 mOsm/l,血漿ADH濃度は0.9 pg/mlと低値.MRIで下垂体後葉のT1高信号消失を認め,下垂体性尿崩症を疑い,妊娠35週5日からデスモプレッシン(DDAVP)2.5 μg 開始.AST 187 IU/L,ALT 200 IU/L と肝機能障害を認めたが,血小板13.4 万/mm 3,T Bil 0.5mg/dl と溶血所見はなかった.肝機能の増悪とAT 3 の低下(62%)を認め,AFLP 初期の可能性も考え,同日緊急帝王切開施行.術後も800 ml/hr と多尿持続し,DDAVP 5 mg/回に増量,術後12 時間で尿量40 ml/hr と改善した.産褥14 日にDDAVP 投与中止.産褥7 日の肝生検は,脂肪変性や肝壊死像なく,脱水や使用薬剤の影響と思われる非特異的な炎症所見のみであった.【考察】一般的に尿崩症合併妊娠では,DDAVP が有効であれば,妊娠継続や経腟分娩は問題ないとされている.本症例では著明な肝機能増悪のため,帝王切開を選択した.肝機能障害の原因として肝生検でAFLP の特異的な所見は認められなかったが,AFLP 初期や脱水の影響も考えられ,尿崩症では肝機能,血液凝固系に加え,脱水による子宮・胎盤循環増悪から胎児環境悪化の可能性も念頭に置いた管理が重要と考える.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 203-203, 2011


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会