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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【ワークショップ1】
妊婦肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症の ハイリスク群の抽出と予防は?


平井 久也
浜松医療センター産婦人科


【はじめに】  2004年に「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」が出版された後に,術後血栓症予防の適応で新しい抗凝固薬が承認されている.治療の選択肢が広がった一方でより個別化した治療を選択するために個々の患者の血栓症リスクをより詳しく検討する必要性が高まってきた.ガイドラインではDVT/PTE発症を予測する血液凝固学的な指標は加えられていないが,われわれは産科DVT/PTE発症例において活性化プロテインCに対する感受性低下が観察されることに注目し,内因性トロンビン産生能(ETP)を用いた活性化プロテインC感受性比(APC-sr)の簡易迅速測定系を作成,血液凝固学的リスク判定指標となりうるかどうかを検討した. 【対象と方法】  2006年9月から2008年12月までの期間,浜松医科大学周産母子センターにおいて健診し分娩となった妊婦(N=111)と同時期にDVT/PTEを発症した妊婦(N=6)についてETP測定およびETPに基づくAPC感受性の算出検討を行った.妊婦症例は分娩様式により帝王切開群(C/S群:N=58)と経腟分娩群(ND群:N=53)に分類し比較検討した.対照群として20〜40歳代の非妊娠女性(N=200)に対し同様の測定を行い,比較検討した. 【結果】  ETP[nM/min]の推移:非妊婦1352±209,C/S群妊娠後期1884±343,C/S群術後1日1832±340,ND群妊娠後期1766±369ND群分娩後1日1841±434で両群とも非妊娠女性と比べ有意に上昇した(p<0.05).妊娠後期と分娩後は両群とも差を認めなかった.DVT/PTE発症症例は1769±268で,C/S群,ND群と有意差を認めなかった.  APC-srの推移:非妊婦1.52±0.83,C/S群妊娠後期2.71±0.94,C/S群術後1日3.20±1.0,ND群妊娠後期2.85±0.90ND群分娩後1日3.55±1.0で両群とも非妊娠女性と比べ有意に上昇し(p<0.05),産後1日目にはさらに上昇を認めた(p<0.05).両群間においては産後1日目の値に有意差を認めなかった.DVT/PTE発症症例は6.25±1.4で,非妊娠女性,C/S群,ND群と比較して著しい高値を示した. 【結語】  妊娠産褥期にはETPが上昇し,APC感受性が低下することから,非妊娠時と比べ過凝固状態であることが示された.DVT/PTE症例ではAPC-srが著しい高値を示したことから,APCによる凝固抑制系の破綻がDVT/PTE発症と密接に関連している可能性が示唆された.本測定法のような血液凝固学的指標に基づいたDVT/PTEリスク判定が,新規抗凝固薬の使用を含めたより積極的な血栓予防対策のための一助になるものと思われる.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 276-276, 2011


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