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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【ワークショップ1】
胎児発育不全(FGR)をどう診るか?


井槌 慎一郎
聖マリアンナ医科大学産婦人科学


 胎児が何らかの理由で,本来発育すべき大きさに育っていない状況を,胎児発育不全(FGR:fetal growth restriction)という.従来は子宮内胎児発育遅延(IUGR:intrauterine growth retardation)と称した病態で,さまざまな母体・胎児の異常にかかわる重要な病態であり,その的確な診断・管理は,出生児の健やかな発育をめざす産科医にとって最も留意せねばならないポイントのひとつである.  少子高齢化がすすむ今日の周産期医療の現場では,分娩取り扱い施設が減少している一方で,医学的・社会的ハイリスク妊娠は増加しており,多忙な臨床の中で,いかに効率的に,かつ正確にFGR症例を抽出し,個々の病態に応じた的確な診断・管理をおこなうかが問われてくる.  そこで本講演では,主として若手の産科臨床医のために,日常臨床の中で,FGR症例の診断・管理をどうおこなえばいいか,その要点,留意すべき点について下記の観点から解説する. 1)FGRリスク因子の確認  まず妊娠初期に,その妊婦のFGRリスク因子の有無について検討し,リスク群については,より慎重に健診時の児発育評価をおこない異常の早期発見に努めることが必要である.  そのリスク因子としては,母体低身長,やせ,喫煙,内科的合併症(高血圧,腎疾患,自己免疫疾患,高リン脂質抗体症候群,糖尿病,炎症性腸疾患,心疾患など),PIH既往やLGA児分娩の既往などがある. 2)早期発見(診断)のために  妊娠初期の的確な妊娠週数・分娩予定日の確認・修正が,まず必須であり,基礎体温を計っているような不妊治療患者などを除けば,経腟超音波法により,胎児発育の確認を正確におこなうことが必要である.  その上で健診ごとの胎児の発育をフォローしていくが,その方法,有用性については,必ずしも決まったものがあるわけではない.胎児発育(推定体重)の評価(算出)は,超音波診断によってなされ,それを,健診ごとにどこまでおこなうかについては,個々の施設の実情に合わせた,一定のスクリーニング法があろうが,その際に重要なことは,前の健診で,どう評価されていたかをふまえ,それを基に成長の度合い・変化をとらえるよう留意することである. 3)原因検索(予後推定)  出生児の予後にも深く関わるFGRの原因の中に,染色体異常や形態的奇形群がある.詳細な超音波診断をおこない,それらの可能性,異常の有無について十分に検索した上で,その結果に基づいた個別的管理をおこなうことが重要である.また,母体の内科的合併症の有無等についても幅広くスクリーニングし,FGRの原因について十分検討することが,その後の管理指針にもつながる. 4)管理指針・治療的アプローチ  特に早期に発症したFGRほど,児の予後は不良となるものが多い.また,多くのFGRは,治療的介入効果が得られないものが多いので,FGR症例管理の原則は,発育の遅れの程度(重症度)の推移に対して十分留意した経過観察と,well-being評価に基づく,的確なターミネーション時期・方法の決定であろう.  当日は,ガイドラインもふまえて,これらの事項の詳細について解説する.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 278-279, 2011


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