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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
93歳で手術を施行した巨大卵巣粘液性境界悪性腫瘍の1例


栗下 昌弘1, 鳥羽 三佳代2
国家公務員共済組合連合会東京共済病院婦人科1, 東京医科歯科大学付属病院周産・女性診療科2


わが国はすでに超高齢化社会に突入しつつあり,高齢者に対する手術は増加することが推測される.しかし,生命維持に直接関与しない婦人科臓器疾患において,90歳を超える超高齢者の手術報告例は少ない.93歳で手術を施行した巨大卵巣粘液性境界悪性腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は93歳,身寄りはなく要介護2で生活保護を受けている.高血圧と子宮全摘除術の既往あり.X年3月,腹満感,悪寒,呼吸苦を主訴とし当院救急外来受診.体温38℃,喘鳴,頸静脈怒張を認めた.腹部は著明に膨隆し,内科入院となった.胸腹部CT検査にて両側胸水,腹水貯留,両側水腎,巨大卵巣腫瘍が認められた.BUN84.2mg/dl,Cre2.5mg/dlと著明な腎機能低下を示し,血中と尿中からグラム陰性桿菌が検出.水腎症に尿路感染が合併,発熱による心不全増悪と判断し抗生剤,利尿剤,DOAが投与された.CA125 191.8U/mL,CA19-9 153.1U/mLと高値を呈し,MRI検査では粘液性卵巣悪性腫瘍が疑われた.左室躯出分画は78%あり,胸水貯留の原因は心臓ではなく低アルブミン血症によるものであり,手術には耐えられると判断され,婦人科医,内科医,ソーシャルワーカー,介護支援センター職員が同席し話し合いがもたれ,本人の強い希望で手術を施行した.左卵巣は23cm径,腫瘍は完全摘出され,両側附属器切除術を施行した.術後病理結果は卵巣粘液性境界悪性腫瘍であった.術後10日目の血液検査では腎機能は著明な改善を示し,CTでも両側水腎所見は消失した.超高齢者の手術では,原疾患の評価,術後のリスクを含めた全身状態の総合的評価,さらに患者の置かれた社会的背景を考慮し,わかりやすい説明と本人の意思の確認が重要である.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 309-309, 2011


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