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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
ヘパリン自己注射管理中に深部静脈血栓症を発症した先天性アンチトロンビンIII欠損症合併妊娠の1例


伊藤 雄二, 福永 朝子, 小田 英之, 松本 直, 峰岸 一宏, 宮越 敬, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学産婦人科


<緒言>先天性アンチトロンビンIII(AT-III)欠損症は,AT-III活性の低下に伴い凝固能が亢進し,高率に血栓症を発症する常染色体優性遺伝疾患である.特に妊娠,出産を契機に高頻度に血栓症や肺塞栓症(PIE)を発症することが知られている.今回,妊娠初期より抗凝固療法を行っていたが,妊娠27週に深部静脈血栓症(DVT)を発症した先天性AT-III欠損症合併妊娠の1例を経験したので報告する.<症例>37歳,0経妊0経産.既往に特記事項はないが,家族歴として本人の兄,父およびその同胞多数に血栓症の発症が認められていた.他院で体外授精にて妊娠成立し,妊娠8週に血栓性素因の精査目的で当院血液内科を受診した.AT-III活性40%と低値であり先天性AT-III欠損症と診断されたため,抗凝固療法としてヘパリンカルシウムの自己注射にて外来管理されていた.妊娠22週頃より右下腿の腫脹およびHoman’s徴候を自覚し,精査の結果右膝窩静脈から右腓骨静脈にかけての器質化血栓が認められ,DVTの診断にて管理入院となった.入院後ヘパリンナトリウムの持続点滴を開始し,またAT-III活性80%以上を目標にAT-III製剤の投与を行ない,症状は軽快した.早産徴候の出現のため入院継続としているが,現在妊娠30週で新たなDVTの発症はみられていない.<結語>へパリンの抗凝固作用はAT-III活性に依存するため,妊娠初期より予防的抗凝固療法を行っていてもDVTを発症するリスクがある.しかしながら,AT-III製剤を予防的に補充すべきかについては明確な指針がなく対応に苦慮した.AT-III欠損症合併妊娠の管理について今後の検討が必要であると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 333-333, 2011


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