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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
卵巣成熟嚢胞性奇形腫を合併した辺縁系脳炎の一例


武隈 桂子1, 田部 宏1, 平井 利明2, 高橋 一彰1, 森本 恵爾1, 黒田 浩1, 石塚 康夫1, 小竹 譲1, 高野 浩邦1, 佐々木 寛1, 田中 忠夫3
東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科1, 東京慈恵会医科大学附属柏病院神経内科2, 東京慈恵会医科大学付属病院産婦人科3


抗NMDA(N-メチルD-アスパラギン酸)受容体抗体に関連した自己免疫性辺縁系脳炎(以下,抗NMDA受容体抗体陽性脳炎と略する)は,頻度はまれであるが,若年女性に多いとされ,約半数に卵巣成熟嚢胞性奇形腫を伴うため,産婦人科医としても認識しておくべき疾患である.本疾患は急性の経過で統合失調症のような精神症状,痙攣,意識障害を呈し,髄液所見,頭部MRI検査で炎症性変化が軽度であることが特徴である.今回,われわれは抗NMDA受容体抗体陽性脳炎を疑う症例を経験したので,若干の文献的考察をあわせ報告する.症例は,28歳0経妊0経産,特に既往歴なし.頭痛と発熱を主訴に前医受診.投薬により症状軽減せず,約2週間後に倦怠感が出現し,発語もみられなくなり当院を受診した.受診時,37℃台の発熱があり,カタトニア状態で意思疎通が困難であった.頭部MRTIでは側頭葉内側にわずかな腫脹をみとめた.髄液検査では,細胞数23/ul(単核球22/ul),蛋白38mg/dl,糖63mg/dl,胸腹部CT検査では,骨盤内左右付属器領域に石灰化を伴う,右2cm大,左5cm大の腫瘤をみとめ,両側卵巣成熟嚢胞性奇形腫が疑われた.以上より抗NMDA受容体抗体陽性脳炎を強く疑い,同日挿管のうえ,人工呼吸器管理とし,ステロイドパルス療法を開始した.第2病日開腹のうえ,両側卵巣嚢腫摘出術を施行した.第5病日より血漿交換治療をスタートし,第8病日に抜管後,興奮状態もなく,第12病日には軽度の注意障害と記名力低下のみとなった.抗NMDA受容体抗体の検査結果が注目されるが,当院では現在までに同疾患を3例経験しており,今回は迅速な診断と治療が行えた症例であったため,今後の経過が期待される.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 376-376, 2011


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