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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【ワークショップ1】
早期上皮性卵巣癌に対する後腹膜リンパ節郭清省略の可能性


長尾 昌二
埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター婦人科腫瘍科


 近年,早期子宮体癌に対する後腹膜リンパ節郭清(Retroperitoneal Lymphadenectomy:RPL)の適応に関する議論が盛んに行われている.一方,進行上皮性卵巣癌に対するRPLの適応についてヨーロッパで大規模な第III相試験(LION trial)が進行中である.しかし,早期上皮性卵巣癌におけるRPLの意義についてはほとんど議論されていない.多くの国内外のガイドラインではI/II期の上皮性卵巣癌には診断目的にRPLを行うことが推奨されているが,治療的な意義は明らかではない.
 2010年にACTION trialの最終結果が報告された.この試験は早期卵巣癌を対象に術後の化学療法の必要性を検証した第III相試験であり,適切なstagingが行われている場合には術後の化学療法の追加が予後の改善に貢献しないことが示された.この試験の結果について視点を変えて見てみると,化学療法が施行された症例においてstaging laparotomyが行われた症例と行われなかった症例の全生存に関するKaplan-Meier曲線がほぼ一致することに気づく.このことから術後化学療法が行われることを前提とすればRPLを含むstaging laparotomy施行の有無は予後に影響しない可能性が考えられる.
 最近の報告によると臨床的I/II期の上皮性卵巣癌の後腹膜リンパ節転移の頻度は14.2%と比較的高率である.よって,RPLの省略によりこれらの転移がすべて見逃されることは許容されないと思われる.しかし,PETを用いることで(メタ解析の結果によると後腹膜リンパ節転移の診断における感度は73.2%,特異度は96.7%)その頻度を3.8%まで減少させることが期待できる.
 以上より,術前にPETで後腹膜リンパ節への集積を認めない臨床的I/II期の上皮性卵巣癌において,術後に化学療法を追加することを前提とすればRPLを省略できる可能性がある.そこでI-II期上皮性卵巣癌を対象にRPLの施行の有無に関する非劣性試験を提案する.術前にRPL施行の有無についてランダム化し,子宮全摘術+両側付属器切除術+大網切除+腹腔洗浄細胞診+腹膜生検に加え,RPL施行群には骨盤内および傍大動脈リンパ節郭清,非施行群には腫大リンパ節を認めた場合にのみ生検を行う.両群とも術後にCarboplatin+Paclitaxel併用療法を6サイクル施行する.Primary endpointは3年全生存割合,Secondary endpointは3年無増悪生存割合,リンパ嚢胞およびリンパ浮腫の発生割合,QOLとする.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 269-269, 2012


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