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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題2】
頸管縫縮糸抜糸は羊水塞栓症発症の危険因子となり得るか


米澤 美令1, 米山 剛一1, 松本 二朗5, 白銀 恵1, 中西 一歩1, 村川 裕子1, 高屋 茜1, 山田 隆1, 渡辺 美千明1, 中井 章人2, 朝倉 啓文3, 竹下 俊行4
日本医科大学千葉北総病院産婦人科1, 日本医科大学多摩永山病院産婦人科2, 日本医科大学武蔵小杉病院産婦人科3, 日本医科大学産婦人科4, 山王クリニック産婦人科5


 羊水塞栓症は妊産婦死亡の約25%を占める重要な疾患である.しかし,詳細な発症機序は不明である.私達は,1984年1月から2011年12月の間に25例の妊産婦死亡に関与し,6例(24%)の致死的な羊水塞栓症を経験した.この中で臨床的に酷似した臨床経過を辿った2症例を経験したので報告する.症例1は32歳,3回経妊1回経産婦.妊娠32週に子宮収縮を訴え入院となった.妊娠16週に頸管縫縮術を受けていた.入院時10分間隔の子宮収縮を認めると共に,破水が認められた.リトドリンの点滴静注及び抗生剤の投与が開始された.しかし,子宮収縮のコントロールは不可能であり,頸管縫縮糸を抜糸した.抜糸4時間後,突然,痙攣,心肺停止が出現し,母子共に死亡に至った.剖検にて羊水塞栓症の確定診断がなされた.症例2は34歳,2回経妊1回経産婦.妊娠23週に頸管縫縮術を施行した.妊娠32週に子宮収縮を訴え近医へ入院した.入院後,リトドリンの点滴静注が開始された.入院3時間後に陣痛発来し,リトドリンの使用を中止し,頸管縫縮糸を抜糸した.子宮口が全開大となり,破膜を施行.その直後に,痙攣,ショック,心停止に至り死亡に至った.児は,吸引分娩にて出生した.解剖にて羊水塞栓症の診断となった.この2症例において頸管縫縮術既往があり,切迫早産として入院している.また,リトドリンの点滴静注でコントロールが不可能であり,急遽頸管縫縮糸を抜糸している.これら2症例から考察すると,推測ではあるが,子宮内圧が高まっている状況下で頸管縫縮糸を抜糸し,かつ破水,破膜という条件が加わると抜糸後の傷から羊水が頸部の血管内に流入し,羊水塞栓症を発症する可能性があることが考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 289-289, 2012


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