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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題11】
妊娠中期に突然の腎機能障害・血小板減少を来したが自然軽快し,その後,妊娠41週で経腟分娩した1例


諸岡 雅子, 中島 義之, 和田 真沙美, 田代 英史, 千葉 純子, 草西 多香子, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母体胎児科・婦人科


 妊娠中に腎機能障害,血小板減少を来す疾患には,HELLP症候群,血栓性血小板減少性紫斑病,溶血性尿毒症症候群,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などが知られているが,鑑別診断が困難な場合も多い.今回,妊娠中期に腎機能障害・血小板減少を来したが自然軽快した1例を経験したので報告する.
 症例は40歳,初妊婦.IVF-ET妊娠の後,妊娠17週に切迫流産の入院治療歴があった.妊娠19週4日,38℃台の発熱と尿混濁を認め,尿路感染症の診断のもと抗生剤投与され2日間で解熱したが,尿蛋白・尿潜血,浮腫を認め,前医に入院した.入院後,下肢の紫斑,血小板減少と腎機能障害を認め,妊娠20週3日,当院に転院となった.当院入院時,体温36℃,血圧91/50 mmHg,脈拍71回/分,白血球4810/μl, Hb 8.4 g/dl,血小板6.1万/μl, BUN 32.4 mg/dl, Cre 1.67 mg/dl, CRP 7.29 mg/dlであり,安静のみで,入院2日後には自然軽快(血小板11万/μl, BUN 15.6 mg/dl, Cre 1.03 mg/dl)した.各種自己抗体陰性,各種ウィルスIgM陰性,破砕赤血球も認めず,PAIgG陽性であり,感染を契機に発症したITPならびに急性腎不全が疑われた.妊娠21週5日,夜間の38℃台の発熱を認めたが,腫瘍や膿瘍も認めず,しだいに発熱も軽快し,妊娠24週4日に退院,外来経過観察とした.その後,妊娠高血圧症候群なども認めず,妊娠41週,3,106gの女児を経腟分娩し,産褥経過も異常は認めなかった.
 妊娠中期に急激な腎機能障害・血小板減少を認めた場合,本症例のように自然軽快し予後良好な疾患も考慮する必要があるが,HELLP症候群や溶血性尿毒症症候群など重症化する疾患も多いため,その診断や周産期管理には慎重を要すると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 315-315, 2012


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