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<< 学会誌へ戻る 全身播種性mycobacterium avium感染症はAIDS等の免疫不全者に合併することが知られている．今回，腟壁に強い所見を呈した全身播種性mycobacterium avium感染症の症例を経験したので，報告する．症例は82歳の女性．既往として，80歳時に頸部リンパ節のmycobacterium avium感染症と診断され，抗生剤長期投与で軽快した．今回，性器出血を主訴に，近医を受診した．診察上，腟悪性腫瘍が疑われ，当科紹介となった．診察上，腟壁は全長性・全周性に肥厚し，易出血性であった．腟壁生検の結果は肉芽組織のみであり，悪性細胞は認められなかった．CT・MRIでは，子宮，腟壁，膀胱に及ぶ腫瘤様病変を認め，骨盤リンパ節腫大および骨盤骨，両側大腿骨に転移を疑う所見を認めた．PETでは腟壁腫瘤に強い集積を認めた．悪性腫瘍を強く疑ったが，数回の組織診でも肉芽組織のみであった．診断に苦慮し，経過観察している間に，全身倦怠感，呼吸苦を認め，近医内科に入院となった．CTにて肺に多発する結節影を認めた．ここで，病理診断が肉芽組織であったこと，肺の病変を認めたこと，mycobacterium avium感染症の既往があったことから，全身播種性のmycobacterium avium感染症の可能性を考えた．腟壁腫瘤組織に対し抗酸菌染色を行い，確定診断を得た．近医内科にて多剤併用抗生剤治療を行い，腟壁の腫瘤は治療後4ヶ月で軽快した．現在も治療を継続している．婦人科臓器にmycobacterium avium感染症が生じることは非常に稀である．文献的考察を含め，報告したい． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 340-340, 2012 |
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