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【症例報告】
CTGにて“sinusoidal pattern”を認めた新生児消化管出血の1例〜MCA-PSVのピットフォール〜


高見 美緒, 田中 智子, 榎本 紀美子, 吉崎 敦雄, 三原 卓志, 小川 幸, 石川 浩史
神奈川県立こども医療センター


 胎児心拍陣痛図cardiotocogram(CTG)においてsinusoidal patternを呈し,その原因が新生児小腸軸捻転,腸管壊死による重症胎児貧血,出血性循環不全と考えられた一例を経験した.41歳,初産婦.妊娠32週5日より胎動減少を自覚し,33週0日に前医を受診.超音波で胎児腸管拡張像を認め,CTGにてsinusoidal patternを呈したため,同日当院へ母体搬送となった.当院でのCTGも典型的なsinusoidal patternであったが,胎児中大脳動脈収縮期最大血流速度(MCA-PSV)60 cm/秒と軽度上昇程度であり,重度の胎児貧血との評価には至らなかった.胎児機能不全の診断にて同日緊急帝王切開術を施行した.新生児は2,350 gの女児,Apgar score 4/7点(1/5分).出生時より全身蒼白であり,重症貧血(Hb 4.4 g/dl),循環不全の状態であった.日齢1に開腹手術を施行したところ,小腸軸捻転により拘扼性腸閉塞・腸管壊死となり消化管出血をきたしていた.小腸部分切除術を施行した.術後経過良好で日齢45に退院となった.CTGにおけるsinusoidal patternは胎児貧血に伴う所見であることが多く,本症例でも胎児が子宮内で失血による貧血をきたしていたものと推測される.しかし胎児貧血の程度の評価のみならず,診断にも有効とされるMCA-PSVは軽度の上昇にとどまった.急性の胎児貧血ではMCA-PSVが必ずしも上昇するとは限らない可能性が示唆された.

Key words:Cardiotocogram, Sinusoidal pattern, Middle cerebral artery peak systolic velocity(MCA-PSV), Fetal anemia, Fetal midgut volvulus

関東連合産科婦人科学会誌, 49(4) 549-554, 2012


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