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【症例報告】
産褥期に不明熱を認め,画像検査により大動脈炎症候群と診断した1例


村上 圭祐, 山田 敦子, 御木 多美登, 山口 貴史, 菅沼 牧知子, 田中 沙織, 村岡 友美子, 田中 利隆, 五十嵐 優子, 田口 雄史, 三橋 直樹
順天堂大学静岡病院産婦人科


 産褥期の発熱の原因は,子宮内感染,乳腺炎など分娩に関連した感染症が多い.今回我々は,産褥期に不明熱を認め,その原因が大動脈炎症候群であった1例を経験したので報告する.37歳,1経妊1経産.妊娠経過は特に異常を認めなかった.妊娠37週に,前期破水のため入院,その後分娩進行し,non-reassuring fetal statusの適応で鉗子分娩となった.児は2,574 g,男児,Apgar score 9/9であった.産褥2日目より38度台の発熱,血液検査で炎症反応の上昇を認めたため,子宮内感染を疑い,抗菌薬による治療を行った.しかし,その後も発熱が続き,血液検査で更なる炎症反応の増悪を認めたため,これらの原因検索に造影CT検査を施行した.その結果,大動脈弓から下行大動脈にかけて壁肥厚,周囲の炎症性変化を認め,大動脈炎症候群が疑われた.さらに,3D-CT-angio検査で右総頸動脈から内頸・外頸動脈に狭窄・拡張性病変を認め,大動脈炎症候群と診断した.診断後はステロイド内服治療を開始し,発熱,炎症反応は速やかに改善した.本症例は産後に突然発症し,発熱以外には有意な症状を認めなかったため,診断までに時間を要した.大動脈炎症候群は生殖年齢女性に多い疾患で,妊娠に合併したり,妊娠を契機に発症したりすることもあるため,不明熱の鑑別疾患として考慮する必要がある.また抗菌薬などの通常の治療に抵抗を示す産褥期の発熱に対しては,画像検査が原因疾患の鑑別に有用である.

Key words:Fever, Aortitis, Delivery, Postpartum

関東連合産科婦人科学会誌, 49(4) 595-599, 2012


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