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【症例報告】
水腎症をきたして発見された特異部位子宮内膜症の一例


齋藤 泉1), 土谷 聡1), 磯野 渉1), 甲賀 かをり1), 川名 敬1), 中川 俊介1), 大須賀 穣1), 百枝 幹雄2), 矢野 哲1), 武谷 雄二1)
東京大学医学部付属病院産婦人科1), 聖路加国際病院女性総合診療部2)


 子宮内膜症のうち特異部位子宮内膜症とされるものの頻度は子宮内膜症に比し低く,特に尿管子宮内膜症は0.06%と稀な疾患である.今回我々は水腎症をきたして発見され,後腹膜腫瘍もしくは卵管癌が疑われたが,手術にて特異部位子宮内膜症と判明した一例を経験したため報告する.症例は51歳4経妊2経産,検診で高血圧と右水腎症を指摘されたため,当院腎臓内科を紹介受診,精査を行ったところ,腹部造影CT, MRIにて右閉鎖領域の腫瘤による尿管の圧排所見を認め,当科紹介受診となった.経腟超音波にて右卵巣と子宮の間に充実性で不整形の腫瘤を認めた.造影MRIの所見では,子宮の右前方に辺縁不明瞭な25 mm程度の腫瘤があった.画像から後腹膜腫瘍もしくは卵管癌の可能性を考え,開腹術に臨んだところ,右尿管は膀胱より5 cmほど頭側の部分で屈曲し周囲が強いひきつれを伴って癒着しており,その頭側の尿管は大きく拡張していた.両側卵巣は正常であった.病理診断から,この尿管周囲の腫瘤は子宮内膜症であることが確定した.子宮腺筋症があり,閉経前であった事から子宮内膜症の治療として単純子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した.今回の水腎症は尿管周囲に発生した特異部位子宮内膜症,すなわち,広義の尿管子宮内膜症により引き起こされたものと判断した.尿管子宮内膜症は特徴的な症状がなく,診断が難しいが,閉経前の女性に原因不明の水腎症を認めた場合は,本症も鑑別に入れる必要があると考えられた.

Key words:Ureteral endometriosis, Hydronephrosis, Hypertension, Retroperitoneal neoplasm, Carcinoma of tube

関東連合産科婦人科学会誌, 49(4) 621-626, 2012


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