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【症例報告】
乳癌術後11年目に施行した腹腔鏡下子宮摘出術で発生した胸部皮下気腫症例の検討


稲葉 不知之1), 稲葉 未知世2)
みさと健和病院婦人科1), 獨協医科大学基礎医学教育支援センター医学教育室2)


 現在では,腹腔鏡下手術は良性疾患における手術の主流になりつつある.しかし,腹腔鏡下手術には開腹手術とは異なる特有の合併症も存在する.今回は皮下気腫という炭酸ガスに関係した合併症について報告する.患者は11年前に右乳癌で非定型乳房全摘手術を受け,その後はタモキシフェンクエン酸塩を内服しつつ経過観察となっていた.しかし,閉経後に不正出血が認められたため,当科を受診した.結果は単純型子宮内膜増殖症であったが,経緯と本人の希望を考慮して手術方針とした.気腹法による腹腔鏡下子宮摘出術,両側付属器摘出術を施行したが,術中のバイタルサインに異常は認めず終刀している.しかし,術直後の胸部レントゲンで右胸部を中心とした両側胸部皮下気腫を確認した.幸いにも重症皮下気腫には至らず,そのまま帰室して経過を見ることが出来た.皮下気腫は術後3日目には自然消失している.非定型乳房全摘術は大胸筋,小胸筋を剝離しない低侵襲手術であるが,それでも皮下組織が脆弱となり,同側を中心に胸部皮下気腫が生じたのではと推測している.胸部手術の既往歴がある症例では,胸部皮下気腫の発生頻度が高くなる可能性を認識しつつ,麻酔科と連携し,発症の契機を見逃さないようにすることが肝要であると同時に,腹壁吊り上げ法を選択することも考慮に入れるべきである.

Key words:Laparoscopic surgery, Subcutaneous emphysema, Breast cancer operation

関東連合産科婦人科学会誌, 50(4) 619-623, 2013


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