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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【日本産婦人科医会共催シンポジウム】
母体保護法施行の諸問題


白須 和裕
日本産婦人科医会/小田原市立病院


 母体保護法は,母性の生命健康を保護することを目的として,不妊手術,人工妊娠中絶,受胎調節の実施指導等について規定した法律である.
 母体保護法の前身は優生保護法であり,1948年に議員提案により制定されている.優生保護法には,優生思想に基づくとされる条項が含まれていたが,1996年優生保護法から母体保護法へと名称を改め,「優生思想の部分」を削除する法改正が行われた.
1)不妊手術
 男女いずれもが対象になり得る.適応が定められており,本人及び配偶者の同意が必要であるが,手術そのものは「指定医師」制度のある人工妊娠中絶と異なり医師であれば実施できる.
2)人工妊娠中絶
 母体保護法に基づき実施される人工妊娠中絶は,法令により行われる正当行為に該当するものであるから,刑法の堕胎罪への抵触を阻却されると解釈される.したがって,母体保護法の定めるところにより適正に運用されなければならない.すなわち,公益社団法人である都道府県医師会が指定する医師(指定医師)が,胎児が母体外において生命を保続できない時期(現在は妊娠22週未満)に,適応条項に合致するかを判断し,本人及び配偶者の同意を得て,人工的に胎児及びその付属物を母体外に排出する手技で行った場合に成立する.
 指定医師の指定については,都道府県医師会がそれぞれ指定基準を定め審査を行っている.日本医師会が「指定医師の指定基準」モデルを示しており,人格,技能及び設備の3点を考慮して,適正な指定を行うと共に遵守事項の励行を求めるものとしている.指定医師の資格は恒久的なものではなく,2年ごとに審査を受け,指定が更新されることになっている.定められた研修会への出席状況や人工妊娠中絶の届出の遵守などが更新審査の重点項目となる.
 人工妊娠中絶は指定医師が法律に定める適応に合致するかどうかを判断しなければならない.身体的理由の適応については,母体に何らかの疾患があり,妊娠,分娩によって著しく母体の健康が損なわれ生命の危険すら予測される場合を指すもので,一過性の疾患で適切な治療により妊娠中に軽快あるいは治癒するようなものは適応とならない.また,経済的理由については,経済的理由により母体の健康が損なわれるという身体的適応の一要件を指している.現行人工妊娠中絶の適応には胎児の異常を理由にした胎児条項はないことに留意すべきである.
 同意については,本人および配偶者二人の同意が必要である.この配偶者の同意の規定は強行規定とされており,これに反する契約などの合意は法律行為としては無効となるので配偶者の同意を取らなければならない.
3)受胎調節の実施指導
 避妊器具を使用する受胎調節の実施指導は,医師以外には都道府県知事の認定する講習を受け,指定を受けた助産師,保健師,看護師が行えるが,子宮内避妊器具(IUD)の挿入については医師のみが行いえる.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 233-233, 2014


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