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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【特別講演1】
子宮頸がんワクチン副反応とその治療


池田 修一
信州大学医学部脳神経内科,リウマチ・膠原病内科


1.何が起きているのか  子宮頸がんの成因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染であり,この発がん性ウイルスの感染予防目的に子宮頸がんワクチンが開発された.本邦では数年前より同ワクチンが試験的に導入され,平成25年4月から国の予防接種法の改正に伴い,小学6年生から高校1年生を対象に子宮頸がんワクチンの無料での定期接種化が開始された.その前後から本ワクチン接種後の女児が奇異な症状に悩まされている実情が報道され,特に中高生女児が手足の発作性の激痛のため,四肢を振るわせて泣き叫ぶ姿は国民に強烈な印象を与えた.平成25年6月の時点で副反応の発生率は0.01%であったが,従来経験のない事体に報道の過熱が加わり,この子宮頸がんワクチンの副反応は社会問題となった.厚生労働省は急遽専門家から成る検討部会を組織して,同省へ寄せられた症例を検討した結果,これは看過できない事体であるとの認識に至り,同省は平成25年6月,子宮頸がんワクチンの勧奨を中止した.同時に厚生労働省は子宮頸がんワクチン接種後の四肢の慢性疼痛の実態調査と成因解明のための研究班を立ち上げた.私はその一つの研究班の統括責任者となった. 2.実態調査の結果  私どもは平成26年1月末の時点で34名を診察した.年齢は12〜19歳(平均15.8±1.9歳),初回接種年齢の平均は13.9±1.6歳.初回接種から症状出現までの平均期間は5.47±5.00ヶ月,最終接種から症状出現までの平均期間は1.94±3.06ヶ月であった.主な症状は頭痛24例(71%),全身倦怠感19例(56%),下肢冷感18名(53%),手足の疼痛17例(50%),起床困難17例(50%),手足の振え15名(44%),歩行困難14名(41%)であった.また四肢の疼痛を訴えている患者を触診すると手足が非常に冷たいという印象を得たため,手指と足趾の指尖容積脈波と皮膚温の測定を行ったところ,前者の異常が53%,後者の異常が58%であった.そこで2例において指尖容積脈波を測定した部位の皮膚生検を行い,電子顕微鏡で観察した結果,皮内神経において無髄神経線維の減少と残存無髄神経の変性像が確認された. 3.発生機序と成因  われわれは末梢性の交感神経障害が高度な起立性調節障害様の症状である頭痛,全身倦怠感や四肢の慢性疼痛の主な原因であろうと考えているが,ワクチン成分との因果関係を含めて発症機序の詳細は不明である.一方,本年1月に開催された厚生労働省の専門部会は「子宮頸がんワクチン接種後の重篤な副反応を呈している患者には器質的病変はなく,全て機能的異常である.またその病像は心理的,社会的要因が影響した身体症状である」という見解を発表した.私どもと厚労省の見解は全く異なる状態になっている.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 350-350, 2014


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