関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【教育プログラム4(スポンサードセミナー)】
OC・LEPと静脈血栓症〜現況と対策〜


若槻 明彦
愛知医科大学産婦人科


はじめに  これまで避妊薬として低用量ピル(OC)が使用されてきたが,OCの副効用として月経痛の改善効果があることから,最近になり低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤(LEP)が保険適応された.LEPが使用可能となってから,OC,LEPの使用頻度は増加し,女性のQOLは上昇したが,一方でその副作用である静脈血栓塞栓症(VTE)も散見されるようになり,昨年末に死亡例がマスメディアから大きく報道された.このため,現在OC,LEPを使用している女性のみならず医師もその継続や開始を躊躇する状況にある.日本産科婦人科学会の女性ヘルスケア委員会ではOC,LEPによる死亡症例を詳細に解析し,VTEによる重篤化予防のための対策を検討した. 1,OC,LEPによるVTE発症機序  OC,LEPを内服すると,消化管から吸収され,門脈を経由して肝内に取り込まれる.肝に取り込まれたエストロゲンは凝固系を活性化させるためにVTEリスクを上昇させると考えられる.従って,エストロゲン内服の初回肝通過効果がVTEリスクに大きく影響するため,内服するエストロゲン量あるいはエストロゲン強度に比例してVTEリスクは上昇する.実際にOC,LEPに含まれるエチニィルエストラディオール(EE)が30μgのVTEリスクを1.0とした場合,20μgのEEでは差がないが,50μgでは有意に高値を示すことが報告されている. 2,VTEを重篤化させないための対策  まずVTEのリスク因子である年齢,喫煙歴,VTEの家族歴について問診し,血圧と体重を測定する.処方前に,VTEの発症時期として開始後数ヶ月間が最も高率であることや,発症した際の症状についても説明する.VTE症状を認めた場合には,処方医師の受診を勧める.しかし,他科を受診することもあるので,この場合に備えて患者携帯カードを持参させる.  処方後,最初の数ヶ月間はできれば頻回な対面診察とし,VTE症状の有無を確認する.VTE症状がなければ定期的な通院とするが,症状を認めれば,Wells Scoreから症状の程度を算出し,可能性が高いのか低いのかを判定する.可能性が低い場合にはDダイマーを測定し,正常範囲であれば定期的通院とし,高値であればこの時点で他科に紹介するか,下肢圧迫超音波や肺動脈CTを行う.いずれも陰性であればVTEなしと判定できるが,陽性の場合にはVTEの治療が必要である.可能性が高い場合には直接,他科紹介でもよいが,下肢圧迫超音波や肺動脈CTあるいはDダイマーを測定して,VTEの有無を判断する. 3,International Active Surveillance Study of Women Taking Oral Contraceptives(INAS-OC)の結果  INAS-OCは約85,000人の女性を対象とした大規模の前向き臨床研究で,ドロスピレノン(DRSP)含有のOC,DRSP以外のOC,レボレルゲストレル(LNG)含有のOCにおけるVTEや動脈血栓(ATE)リスクなどを検討した試験である.結果,DRSP含有OCのVTEリスクはDRSP以外やLNG含有OCと有意差のないことが示された.また,ATEリスクも同様に3群で差のないことが示されている. おわりに  現在,女性ヘルスケア委員会ではCQ方式によるOC・LEPのガイドラインを作成中で,本年度の完成を目標としている.本邦でのOC,LEPなどホルモン剤の使用は海外に比較して極めて低いのが現状である.本ガイドラインがOCやLEPの適切な使用に結びつき,女性のQOL向上につながることを期待したい.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 363-363, 2014


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会