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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【ワークショップ2―私たちはこうしている―】
当院における前置癒着胎盤症例への対応 〜UAEを軸とした集学的管理〜


西村 修1, 石本 人士1, 伊藤 千尋2, 明神 和紀2, 小泉 淳2
東海大学医学部専門診療学系産婦人科1, 東海大学医学部専門診療学系画像診断学科2


 前回帝王切開は前置癒着胎盤の重要なリスク因子であり,手術時の大量出血が問題となる.前置癒着胎盤の管理については,施設ごとに対応が異なり統一した管理指針はない.当院では以前より産科大出血への対応法として子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization:UAE)を施行しているが,2008年7月より,前置癒着胎盤を強く疑う症例に対して,標準プロトコール(手術術前に尿管および内腸骨動脈へカテーテル挿入を行い,子宮底部横切開法もしくは子宮縦切開法により児を娩出させた後にゼラチンスポンジ細片を用いたUAEおよび子宮全摘術を施行)を導入し,大量出血に備えた管理を行っている.  我々は前置癒着胎盤例における本標準プロトコールの有用性について明らかとするため,以下の検討を行った.1999年1月から2013年8月までに当院で管理した前置癒着胎盤17例のうち,妊娠中の子宮破裂例を除いた16例を対象とし,緊急手術群(4例)と予定手術群(12例)で,術中出血量,輸血量,手術時間の各項目につき検討した.また予定手術群のうち,術前に前置癒着胎盤を強く疑い標準プロトコールに従って管理し得た症例(6例)をA群とし,2008年以前の症例もしくは,2008年以降で緊急手術症例や標準プロトコールに当てはまらない症例(6例)をB群とし比較した.16例全例で帝王切開術後に子宮全摘術を施行しているが,このうち帝王切開既往例は13例であった.術中出血量は予定手術群では2753±1674ml(平均±SD),緊急手術群では4329±827mlであり,予定手術群で有意に出血量が少なかった(p<0.05).予定手術群のうち,A群の術中出血量は2144±1342mlと,B群の3362±1865mlに比べ有意差はないが少ない傾向であった.またA群では自己血輸血のみで対応可能で同種血輸血は回避できた.手術時間については,検討した各群間で有意差を認めなかった.以上より,前置癒着胎盤を強く疑う症例においては,術前の周到な準備およびUAEを軸とした集学的な対応を行うことで,術中出血量および輸血量を減少出来る可能性が示唆された.  2012年には「産科危機的出血に対するInterventional radiology(IVR)施行医のためのガイドライン」が策定され,産科医療の分野でもIVRが止血手段として普及しつつある.しかしながらIVR施行にあたってはハード・ソフトの両面で問題点も指摘されている.本ワークショップでは,我々の施設における対応を述べつつ,今後の課題についても触れてみたい.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 372-372, 2014


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