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【特集】
Methotrexate(MTX)の全身投与が有用であった癒着胎盤の1症例
濱田 佳伸, 鈴木 達彦, 市村 建人, 栗田 郁, 山本 篤, 飯塚 真, 林 雅綾, 安藤 昌守, 榎本 英夫, 坂本 秀一, 林 雅敏
獨協医科大学越谷病院産科婦人科
今回,我々は,流産後,胎盤が娩出せず,臨床的に癒着胎盤と考えられた症例をmethotrexate(MTX)の全身投与を行って胎盤を自然排出せしめ,子宮を温存できた症例を経験したので報告する.症例は30歳女性.1経妊1経産.帝王切開1回.近医にて妊娠17週で流産となったが,胎盤が娩出せず,産褥25日目に当科紹介となった.カラードップラーで遺残した胎盤周囲に豊富な血流を認め,癒着胎盤と診断した.MTX 50 mg/m2/週の全身投与を1クール施行した.投与11日目と33日目の2回に渡って大量出血なく,胎盤組織は自然排出した.胎盤娩出困難な症例でも,全身状態が安定し妊孕性温存希望が強ければ十分なインフォームド・コンセントのもとで,保存的治療は可能と思われた.
Key words:placenta accreta, Methotrexate
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(4)
481-484, 2010
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