我々の関東連合産婦科人科学会は、全国レベルの他領域の学会に比肩するほどの6,000名を超える会員を有し、その潜在的な活力は底知れぬものがあると思います。
2019年末に始まった新型コロナウィルス感染の拡大と遷延は、我々の日常生活を一変させ、学術集会を始めとする多くの研修会の開催形式も大きな変革を迫られてきました。多くの学術集会では企業協賛は縮小しに運営に支障をきたしていると聞きます。本学術集会も例外ではありません。今後の学術集会における財政収支の安定化を図るために、Web参加を恒常的に導入することはもちろん、会員にとって魅力的な学術集会のコンテンツを作成することも重要であると認識しております。
また、政府は少子化対策の一環として2022年4月から生殖補助医療の保険適応を開始し、さらに2026年からは分娩費用の保険化を行うと明言しております。将来的には、欧米や韓国・台湾のような分娩取扱い施設の集約化は避けられないとは思いますが、出産費用の保険適応化について、拙速に事を進めればわが国の産科医療は一時的に機能不全に陥ってしまうのではないかと危惧しております。本学会としても、地域性を加味した答申となるように情報発信を進めてまいります。会員の先生方におかれましてもどうぞ動向を注視頂きたく思います。
本学会が取り組むべき課題はこのほかにも多々あると思います。まずは人的な地域格差の解消に由来する研修格差の有無の問題です。人的な格差解消のためには本学会として専攻医の教育に力を注ぐ必要があると思います。全ての領域において著名な会員の先生方が多数所属する本学会ですので、年2回の学術集会の機会を有効に利用して、IT技術を活用した教育セッションを充実させることも有用かもしれません。さらに、交通の要衝を有する本学会の地域性を生かして、人事交流を始めとした対外的な学会活動の活性化がさらに求められると思います。また、過去の代表が率先して学術・診療レベルの向上のために取り組んできた研究助成についても、さらに発展した形で継続し、次世代の会員の学術活動をさらに支援したいと考えています。
産婦人科診療を取り巻くこの激動の時代に、次の世代の産婦人科医達にとって、多様性を持ちながらも大きな夢と期待を抱いて貰えるような発信力のある本学会を目指したいと思います。
私はまだまだ浅学非才の身であります。
是非とも会員の先生方の忌憚ないご意見とご指導を頂き、代表として本学会の発展のための礎を築いて参りたいと存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
令和5年7月
一般社団法人関東連合産科婦人科学会
代表 亀井 良政
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