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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 卵管間質部妊娠23例の検討
松澤 晃代
北里大学病院産婦人科
卵管間質部妊娠は子宮外妊娠(外妊)の中でも比較的稀な着床部位の一つであり,卵管疎通性の温存は困難であるとされている.今回,我々は2007年6月までの9年2ヶ月の間に経験した,間質部妊娠23例について検討した.検討期間中の外妊総数は311例で,間質部妊娠は23例(7.4%)だった.23例中18例(78.3%)は自然妊娠で,他の5例は人工授精あるいは体外受精・胚移植によるものだった.初診時妊娠週数は5週〜10週(平均7週),治療開始時血中hCG値は2441〜145145(平均34987)IU/Lだった.初診時にすでに腹腔内出血によるショック状態であった4例(0.17%)は,直ちに外科的治療が必要で,いずれも開腹による間質部切除術を行なった.これらの出血量は840〜5670(平均3322.5)mlだった.全身状態が安定していた19例(82.6%)には経腟的超音波断層法下薬物局所注入療法を選択した.局注薬剤としてはメトトレキサート(以下MTX)および50%グルコース(以下50%G)を使用し,21Gロングエラスターゼ内針を用いて穿刺した.19例全例で血中hCG値は順調に低下し,外妊は治癒した.また,23例中3例(13.0%)は子宮内外同時妊娠例で,このうち2例は子宮内妊娠の胎児が生存していたため,MTXは使用せず,50%Gのみで治療し,妊娠を継続,いずれも生児を得た.内外同時妊娠例以外では,血中hCG値の陰性化に要した日数は30〜227(平均63)日だった.経腟超音波上,間質部の腫瘤像が消失した後に子宮卵管造影を施行した9例のうち,2例で患側間質部の疎通性を認めた.治療後の妊娠は8例に成立し,外妊の反復はなかった.間質部妊娠に対する非観血的治療として,経腟的薬物局注療法の有用性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
300-300, 2007
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