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【原 著】
陣痛発来と膣スメアの検討
関本 寛子*, 関本 一義*, 楯 真一**, 平井 康夫**, 田中 昇***
*関本産婦人科 **癌研究会附属病院婦人科 ***BML病理・細胞診センター
陣痛発来の機序の解明を目的として,局所でのホルモン動態を表現していると考えられる膣スメアのホルモン細胞診を用いて陣痛発来との検討をおこなった. 妊娠36週より分娩までの同一症例について連続的に採取した膣壁スメアについてホルモン細胞診を行い,その変動と陣痛発来との関連について検討した.当院で分娩した妊婦244例より採取した膣壁スメア715標本を対象とし,ホルモン消長の判定方法に細胞成熟指数を用いてI型〜III型に分類し,骨盤位などの予定帝切及び前期破水し陣痛がつかずに帝王切開になったものと誘発分娩になったものを有効陣痛なし群,自然経膣分娩したものを有効陣痛あり群に分け,分娩直前に型が変化したかどうか,また分娩直前の型と有効陣痛の有無について検討した.結果は分娩前の型と有効陣痛との関係に有意差(p=0.004)が認められた.しかし直前の変化と有効陣痛との関係には有意差がなく(p=0.175),直前変化の有無に関わらず分娩直前の型が陣痛発来に関係することが示された.膣壁スメアは陣痛発来の機序の一端を表現しているものと考えられた.
Key words:Vaginal smear, Onset of labor
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(1)
43-46, 2001
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