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【原 著】
胎児へのグルコース負荷が低酸素ストレスにあたえる影響


桑島 豊彦1), 鈴木 俊治1), 村田 知昭1), 茆原 弘光1), 武内 務1), 大坪 保雄1), 澤 倫太郎1), 米山 芳雄1), 朝倉 啓文1), 河村 堯1), Gordon G. Power2), 荒木 勤1)
1)日本医科大学産婦人科
2)Loma Linda大学胎児生理学センター


 分娩中の補液管理にはグルコース溶液が用いられることが多い.しかし,母体への過剰なグルコースの投与は高血糖から胎児のアシドーシスを引き起こすことも知られている.今回われわれは,慢性胎仔動物実験モデルを用いて低酸素負荷をあたえた胎児における血糖値変化による影響を経時的に観察した.胎齢130〜135日のヒツジ胎仔をもちいて慢性実験モデルを作成した.グルコース負荷群(n=5)には,胎仔頸静脈より10%グルコースを0.1 mL/分で投与し,投与開始1時間後から母獣に10%O2を30分間投与する低酸素負荷を加えた.これに対して,60分の観察の後同様の低酸素負荷を与えた5例をコントロール群とした.成績は,コントロール群では低酸素負荷によって胎仔頸動脈血pHが7.31から7.24に低下し回復期には正常に復した.これに対してグルコース負荷群では,低酸素負荷によって胎仔頸動脈血pHは7.11まで低下(p<0.05,対コントロール群),負荷終了後1時間の回復期でも7.17とアシドーシスを認めた.今回の実験において,胎児が低酸素ストレスに曝露されるとき,高血糖は胎児のacidemiaをさらに悪化させることが認められた.

Key words:Hyperglycemia, Hypoxia, Fetal Sheep

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(4) 329-332, 2001


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