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【原 著】
癌性心嚢水貯留による心タンポナーデをきたした卵巣癌の2例
正木 千穂, 塩原 茂樹, 長谷川 晶子, 山田 智子, 菊地 範彦, 斉藤 慶弘, 伊東 和子, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学医学部産科婦人科学教室
卵巣癌患者において,腹水,胸水の貯留は高頻度に認められるが,癌性心膜炎による心嚢水貯留は稀である.今回我々は,卵巣癌の患者において,長期にわたる治療経過中に心膜転移とそれに伴う心嚢水の貯留・心タンポナーデを発症した2例を経験した.症状,理学所見,胸部X線画像,超音波検査,およびCT画像などにより心嚢水貯留による心タンポナーデと診断し,心膜腔の穿刺ドレナージにより心嚢水の除去および細胞学的診断を行うとともに,cisplatin,OK 432(ピシバニール)の投与を行い軽快した.その後,心タンポナーデ発症よりそれぞれ12か月間と4か月間の生存中には心嚢水貯留の再発をみなかった.
Key words:pericardial effusion, cardiac tamponade, ovarian carcinoma, cisplatin, OK 432
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(1)
3-9, 2002
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