|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【原 著】
若年性無月経における骨密度の検討とその治療方針の提言―骨密度の測定にDIP法を利用して―
小倉 孝一, 野本 千恵, 大川 玲子
国立千葉病院産婦人科
若年者においても閉経期同様に低エストロゲン状態で骨量が低下するが,若年性では無月経,骨量低下ともに成因は複雑で,対応にも一定の基準はない.我々は13〜33歳の無月経患者59例と対照12名の骨量を,中手骨DIP法により骨密度として測定し,無月経の諸因子と比較検討した.結果:1.平均骨密度(ΣGS/D)は,原発性無月経;2.08mmAl,続発性無月経;2.61mmAlで,原発性無月経で有意に低かった.2.続発性無月経では,無月経期間が長いほど骨密度は低値を示した.3.続発性無月経と対照群,また第一度無月経と第二度無月経の間に有意差は見られなかった.初診時BMI,エストラジオール(E2)値と骨密度の間に相関は認められなかった.4.ΣGS/Dが(平均−SD)以下を示したのは,原発性無月経4名と,第二度無月経で神経性無食欲症の3名であった.以上より骨密度は若年の無月経一般では必ずしも低下しないが,原発性を含む重症例で低下することが判明した.また,この結果は諸家の報告と矛盾せず,骨密度測定の簡便法であるDIP法の有効性が示された.
Key words:amenorrhea, bone mineral density, digital image processing(DIP)
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(1)
31-35, 2002
|