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【原 著】
超音波ドップラー法で心機能を評価しながら保存的に管理した巨大無心体双胎の1例
奈良 政敏, 角野 英里子, 深田 幸仁, 平田 修司, 星 和彦
山梨医科大学産婦人科学教室
無心体双胎は一絨毛膜双胎の約1%にみられる稀な奇形で,無心体は心臓が欠如もしくは痕跡的存在にもかかわらず,健児の心臓を循環した血液で栄養され妊娠経過とともに増大する.今回我々は,無心体の体重が5,000gを超えるまで巨大化したが,健児の心機能を頻回に検査しつつ,妊娠後期に比較的良好な状態で娩出しえた稀有な症例を経験したので報告する. 症例は27歳の初産婦で妊娠21週2日に無心体双胎と診断した.この時点で健児に心不全徴候はなく,超音波断層法による心機能を評価しながら厳重に妊娠を管理した.妊娠35週より健児の羊水量の増加とともに,Preload Indexの上昇も認め,36週0日選択的帝王切開術を施行した.健児は2,080g,女児でApgar scoreが1分後8点,5分後9点であった.一方無心体の体重は5,064gだった.健児は出生後より心不全の治療を開始したが,生後1週間で心不全から脱し現在も順調に経過している.
Key words:acardiac twin, doppler echocardiography, fetal heart failure
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(4)
339-344, 2002
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