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【原 著】
当科における卵巣腫瘍手術例の検討―1.良性例での比較―
堀川 隆, 服部 里佳, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター・病院・産科婦人科
1995〜1999年までの5年間に術後病理診断により良性卵巣腫瘍と診断された306例について各腫瘍の臨床的特徴について検討した.診断別頻度は成熟奇形腫(100例,32.6%)と子宮内膜症性嚢胞(99例,32.2%)で全体の約3分の2を占め,次いで粘液性嚢胞腺腫(37例,12.0%),漿液性嚢胞腺腫(28例,9.1%)であった.成熟奇形腫は比較的若い年齢に多く,自覚症状に乏しく健診などで見つかる事が多かった.子宮内膜症性嚢胞も若い年齢に多かったが月経痛や不妊を伴っており,小さくても手術療法を必要としていた.粘液性および漿液性嚢胞腺腫は高齢に多く腫瘍径が大きくなり腹満感を主訴に受診する事が多かった.茎捻転は約8%に起こっており,組織型で茎捻転を起こし易い腫瘍といえるものはなかったが,鶏卵大の腫瘍が半数を占めた.5cm以上のものに対しては低侵襲な腹腔鏡下手術を積極的に施行してよいと思われた.
Key words:Benign ovarian tumor, Ovarian torsion, Clinical feature
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(4)
353-357, 2002
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