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【原 著】
当科における卵巣腫瘍手術例の検討―2.最大径からの比較―
服部 里佳, 堀川 隆, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター・病院・産科婦人科
卵巣腫瘍は婦人科疾患として頻度の高いもので,自覚症状や病理所見は多岐にわたっている.今回,大きさからみた卵巣腫瘍の特徴について検討した.1995年から1999年の5年間に当科で手術を行った卵巣腫瘍364例の腫瘍最大径を術前の画像診断より(A)99mm以下(B)100mm以上149mm以下(C)150mm以上199mm以下(D)200mm以上の4群に分け比較した.全体に占める割合は364例中(A)74.4%(B)14.3%(C)5.2%(D)6.0%であった.各群の年齢平均は(A)40歳(B)45歳(C)45歳(D)52歳で,大きいものほど高年齢で受診していた.主訴では疼痛が(A)42%(B)48%を占め,膨満感が(C)と(D)では50%以上を占めた.小さいものほど痛みにて受診する率が高く,大きいものほど膨満感にて受診する率が高かった.組織型では悪性の占める割合は(A)で6%(C+D)では40%以上,良性の占める割合は(A)で93%(C+D)では約40%であった.150mmを境に年齢,主訴,組織型に差がみとめられた.また腫瘍径が大きくなるほど高年齢で悪性の割合が増すにもかかわらず,必ずしも受診を余儀なくされる主訴ではなく,膨満感といった漠然とした主訴が多い傾向があった.腫瘍径が小さいものは良性の割合が高く,主訴も疼痛といった強い症状にて受診する傾向があった.これは子宮内膜症性嚢胞の割合が多かったためとも考えられるが,悪性の症例も少なからず存在するため,注意が必要だと思われた.
Key words:The size of ovarian tumor, malignancy, chief complaint
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(4)
359-362, 2002
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