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【原 著】
糖尿病合併妊娠における尾部退行症候群の1例


小野 晃子, 岩田 壮吉, 宮本 佳栄, 中田 さくら, 高橋 純, 木挽 貢慈, 木戸 進, 林 保良, 宮本 尚彦, 関 賢一
川崎市立病院産婦人科


 妊娠初期の高血糖はHbA1cに相関して先天奇形発症のリスクが高いと考えられている.今回我々は糖尿病管理不良例における尾部退行症候群(Caudal Regression Syndrome; CRS)の1例を経験したので報告する.症例は38歳2経産であり糖尿病を有するも今回妊娠時には無治療であった.初診時(妊娠7週)の経膣超音波断層検査では特に異常を認めなかったが,随時血糖値260mg/dl,HbA1c11.3%と著明な高血糖を認めたため糖尿病の精査を開始した.インスリン療法開始とともに超音波断層法による精査を継続したところ,妊娠12週時には大腿骨長が測定できないことから先天奇形を疑った.妊娠16週時に仙骨・膀胱が不明,大腿骨は短縮,股膝関節が屈曲し運動性を認めないことからCRSを強く疑い,児の予後,血糖コントロール不良による母体の危険性から人工妊娠中絶を施行した.児は死産分娩で腹部から下肢の低形成,両股膝関節は屈曲拘縮していた.病理解剖では,腰椎〜仙椎無形成,腸骨低形成,鎖肛,馬蹄腎を認めた.以上より鎖肛,馬蹄腎を伴うCRSと診断された.CRSは脊髄や脊索の発達異常とされており,特に脊索の異常は同時に3胚葉性の発生異常に関連し様々な多発奇形を生じると考えられ,糖尿病合併妊娠にも稀に発生することが知られている.本症例は妊娠初期の糖尿病管理不良が起因である可能性が高く,糖尿病患者の妊娠前管理の重要性と糖尿病合併妊娠における胎児管理での超音波断層法の有用性が示された.

Key words:Caudal regression syndrome, Diabetes mellitus, Prenatal Diagnosis

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(4) 363-367, 2002


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