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【原 著】
母獣に対する酸素投与がヒツジ胎仔臍帯圧迫モデルにおける脳温変化にあたえる影響
鈴木 俊治1), 米山 芳雄1), 澤 倫太郎1), 村田 知昭1), 武内 務1), 奥平 さやか1), Gordon G. Power2), 荒木 勤1)
1)日本医科大学産婦人科 2)Loma Linda大学胎児生理学センター
ヒツジ胎仔臍帯圧迫モデルを用いて,母獣に酸素投与をおこなった場合の胎仔脳温(大脳皮質温)および核温(大動脈温)の変化を観察した.酸素投与群および非投与群に5分間の臍帯圧迫を行なったところ,胎仔の核温は約0.2℃有意に上昇したのに比較して脳温は有意な変化を認めなかった.酸素非投与群で,臍帯圧迫解放後,胎仔の核温および脳温は有意に低下したが10分後よりともに上昇を開始し,30分後には実験前のレベルに復した.一方,母獣酸素投与群では臍帯圧迫解放直後,胎仔の核温および脳温は非投与群と同様に有意に低下したが5分後にはともに再上昇を開始し,30分後には有意な上昇を認めた.また,胎仔脳温および核温の差は酸素投与群のみ有意に増加した.以上より,母体への酸素投与は,胎児の脳および全身の代謝の回復を過剰に促進することが推定された.
Key words:Cerebral temperature, Maternal oxygen administration, Fetal sheep
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(4)
387-391, 2002
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