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【原 著】
化学療法中にGrowing Teratoma Syndromeを呈した卵巣未熟奇形腫の1症例
多賀谷 光, 笠井 剛, 本多 つよし, 小林 洋子, 萩原 俊太郎, 小室 真祐子, 藤江 道子, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学産婦人科
Growing teratoma syndromeは胚細胞性腫瘍において術後化学療法によって腫瘍マーカー値は正常化するにも関わらず,転移・再発病変が増大傾向を示し,その病変は病理組織学的には成熟奇形腫のみより構成されているという病態である.今回経験した卵巣未熟奇形腫の症例は,術後の残存腫瘍に対し,化学療法を施行したところ,治療抵抗性に増大したが,腫瘍マーカーは順調に低下していき,2度目の開腹手術を施行したところ,残存腫瘍は未熟成分を含まない成熟奇形腫であり,Growing teratoma syndromeと診断したものである.Growing teratoma syndromeは組織学的には良性疾患であるが,手術切除の必要な病態であり,胚細胞性腫瘍に対する化学療法の治療効果判定を行う際に念頭に置くべき疾患であると思われる.
Key words:Growing teratoma syndrome, Chemotherapy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(1)
11-16, 2003
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