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【原 著】
羊水過多を伴った絨毛血管腫合併妊娠の1症例
萩原 俊太郎, 須波 玲, 藤江 道子, 滝澤 基, 本多 つよし, 深田 幸仁, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学医学部産婦人科学教室
絨毛血管腫は胎盤に発生する非絨毛由来の良性腫瘍の中で最も頻度の高い疾患である.直径1cm以下の血管腫は臨床症状を呈せず,胎盤を詳細に検索するとその1%前後に発見されるといわれる1).直径4cm以上のものは希であるが,羊水過多,早産,胎児水腫,胎児心不全,児の貧血,児の血小板減少などの周産期異常を伴うことが多く,臨床的に重要となる2).今回われわれは,羊水過多を伴った絨毛血管腫を有する妊婦に対し超音波計測を頻回に行い,胎児の心機能を評価しながら経過を観察し,重篤な合併症を発症することなく,妊娠37週で健児を得た症例を経験したので報告する.症例は37歳の2回経産婦で,妊娠29週に羊水過多のため前医より紹介された.精査にて胎盤内に血流豊富な腫瘍を認め,絨毛血管腫と判断した.その後,腫瘍の増大傾向を認めたが,幸いにも羊水量は正常化し胎児の心不全も発症せず,妊娠37週で健児を得た.
Key words:Chorioangioma, Pregnancy, Hydroamniosis
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(1)
67-71, 2003
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