|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(呼吸器疾患・その他) 妊娠中呼吸障害を呈した肺リンパ管筋腫症の1例
市川 剛, 栃木 美寿紀, 山代 美和子, 永石 匡司, 正岡 直樹, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学総合周産期センター産婦人科
肺リンパ脈管筋腫症(pulmonary lymphangioleiomyomatosis;LAM)は通常妊娠可能年齢の女性に発症する稀な疾患で,肺の平滑筋細胞が,リンパ管,脈管,気道周囲に異常増殖して,びまん性に嚢胞性変化をきたすが,いまだ原因不明である.今回我々は,妊娠中呼吸障害を呈して初めてLAMと診断された症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は,28歳,0回経妊0回経産.既往歴は小児喘息(小児期のみ),喫煙なし.現病歴は,前院にて妊娠5週と確定され,以後妊婦健診を受けていた.妊娠9週より咳嗽を認めていたが,妊娠25週,引越しを機に咳嗽,呼吸困難が増強し始め,妊娠30週に同院呼吸器科入院となった.胸部X線上,粟粒状陰影認め,SaO2 83%と低下し,入院後も症状増悪傾向認めたため,妊娠31週6日加療目的にて当院に転院された.呼吸器科と相談の上,母体呼吸障害,母体治療必要なため同日帝王切開術施行した.1453g(AFD)の男児をApgar score8点にて娩出した.分娩後呼吸困難の症状は軽減した.児はNICU入院となり,RDSにてサーファクタント投与開始したが,その後は経過順調に発育している.母体は精査の末,胸腔鏡下肺生検組織にてLAMの確定診断に至った.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
228-228, 2002
|