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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(呼吸器疾患・その他) 肺リンパ脈管筋腫症合併妊娠の一例
田中 美香, 池田 申之, 仁科 秀則, 中村 靖, 吉田 幸洋, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
(緒言)リンパ脈管筋腫症lymphangioleiomyomatosis(LAM)は,呼吸器疾患の中では稀な疾患で,今までの報告例は250例以下である.妊娠可能な年齢の女性にのみ発症し,肺組織内で過誤腫性平滑筋細胞が女性ホルモン依存性に増殖し,最終的には呼吸不全に陥る.その為,増悪因子である妊娠の報告例は本邦ではごくわずかである.今回我々は,LAM合併の二絨毛膜性双胎妊娠で,妊娠経過を通して呼吸機能の増悪を認めなかった一例を経験したので報告する.(症例)40歳女性1経妊0経産.平成13年5月,生検によりLAMと診断された.既往歴にその他特記すべき事項なし.偽閉経療法を勧められたが挙児希望強く,他院でクロミフェンによる排卵誘発の後妊娠成立した.二絨毛膜性双胎の為,平成13年10月29日(妊娠13週5日)当院紹介受診となった.在宅酸素療法を行い,酸素飽和度95%を維持し,妊娠経過良好であった.平成14年1月4日(妊娠23週5日)切迫早産徴候認め入院となった.入院後安静により子宮収縮は抑制された.しかし,平成14年2月25日(妊娠31週1日)子宮口3cm開大,先進児足位,臍帯下垂のため,緊急帝王切開術を施行し,分娩となった.1児1660g女児Ap8/10,2児1638g男児Ap8/9であった.術後経過順調で平成14年3月6日退院となった.入院経過中,2週間毎に胸部X線および動脈血ガス分析を行い,呼吸機能評価をしていたが明らかな変化は認めなかった.(考察)LAM合併妊娠は予後不良と考えられ,本邦でも報告例はわずかである.しかし,高エストロゲン血症の状態であったにもかかわらず,呼吸機能の増悪は認められず,妊娠産褥経過は良好であった.本症例の妊娠,分娩,産褥の心肺機能の管理を中心に考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
228-228, 2002
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