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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(呼吸器疾患・その他) 放射線療法にて寛解した脳腫瘍合併妊娠の一例
上原 奈美子, 笹森 幸文, 有木 さおり, 小泉 仁嗣, 藤野 剛, 高橋 祐子, 木戸 浩一郎, 篠塚 憲男, 綾部 琢哉, 森 宏之
帝京大学産婦人科
予後不良である脳幹部(橋部)の神経膠腫が妊娠中に発見された症例に対し放射線療法をしながら生児を得た一例を経験したので報告する.【症例】27歳,1経妊0経産.【現病歴】2000年1月13日から7日間を最終月経として妊娠し近医を受診,妊娠15週頃から右上肢脱力感,しびれ感出現,妊娠20週,過換気状態が持続し,右片麻痺進行したため近医入院.頭部MRIにて,脳幹部に異常陰影が認められたため,脳腫瘍の疑いで,妊娠21週1日,当院へ母体搬送された.脳外科にて,脳幹部(橋部)の神経膠腫であり,予後不良との診断を受けた.しかし家族の希望で妊娠継続の方針とし,ファント−ムを用いて放射線の胎児への影響を十分評価した上で,妊娠22週1日,放射線療法開始,計50Gy照射した.脳浮腫に対してプレドニン30mg/dayを投与した.児にはIUGRを認めたが,reassuring statusであった.妊娠35週3日,予定帝王切開術施行.1798g女児,Apgar score7点(1分)9点(5分),UA pH:7.265.母体は術後経過良好にて退院.脳外科外来にて免疫療法,化学療法を受けていたが,徐々に四肢麻痺進行し,2001年8月23日入院.呼吸不全,心停止となり,入院後83日目(発症から640日目)永眠.児は早産,低出生体重児のため小児科管理入院後,高ビリルビン血症改善せず,胆道造影検査にて,胆道閉鎖症の診断.外科にて日齡78,肝門部空腸吻合術+Roux-en-Y吻合の手術を施行され,現在外来フォロ−中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
229-229, 2002
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