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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(呼吸器疾患・その他) 重症妊娠中毒症を発症した原発性アルドステロン症合併妊娠の1例
竹内 はるか, 加藤 清, 花岡 俊也, 岡 賢二, 芦田 敬, 北 直子, 金井 誠, 小西 郁生
信州大学産婦人科
原発性アルドステロン症は全高血圧症の0.1〜0.7%を占め,妊娠に合併することは比較的稀である.今回,妊娠初期から高血圧があり,副腎腫瘍の存在から原発性アルドステロン症と診断し,保存的に経過をみたところ,妊娠30週に妊娠中毒症を発症し急激に増悪した1例を経験した.症例は22歳の初産婦で,妊娠初期から収縮期150mmHgの高血圧が認められ某病院にて2次性高血圧の精査がなされ,超音波断層法にて副腎腫瘍が疑われ妊娠20週に当科入院となった.MRI上右副腎に径2cmの腫瘤が同定され,血液検査にて低K血症,高アルドステロン血症(960.4μg/ml)を認め,原発性アルドステロン症と診断された.血圧が比較的安定していたことから妊娠26週に一時退院し外来管理となった.自己血圧測定をしながら経過観察したところ,妊娠30週に血圧の急上昇(170/100),蛋白尿(+〜++),頭痛が出現し,再入院となった.ヒドララジン投与を開始したが血圧は安定せず,全身浮腫,肺うっ血をきたし,嘔気,嘔吐も認められた.妊娠中毒症の急性増悪と診断し,30週6日に緊急帝王切開術を施行し,1,474gの女児(Apgar score 5/8)を娩出した.術後も血圧は安定せず,カルシウム拮抗剤にてコントロールし,術後7日目からスピロノラクトンも併用し,産褥14日目に退院となった.約6ヶ月後に泌尿器科にて副腎腫瘍摘出術が予定されている.原発性アルドステロン症合併妊娠の管理について文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
230-230, 2002
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