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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍/肉腫 筋腫分娩様に発育していた高悪性度子宮内膜間質肉腫の1症例
杉山 紀子, 濱田 佳伸, 堀中 奈奈, 安藤 昌守, 友部 勝実, 矢追 正幸, 堀中 俊孝, 榎本 英夫, 林 雅敏, 大藏 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科
【緒言】高悪性度子宮内膜間質肉腫(ESS,high grade)は,高い奏効率を示す化学療法としてコンセンサスの得られているregimenがない.今回,筋腫分娩様に発育していたESS,high gradeに対して,当科で考案し以前に未分化子宮内膜癌に奏効した,TTJ療法(THP-ADM,paclitaxel,carboplatin)を行い,有効であったと考えられる1症例を経験した.【症例】59歳,2回経妊2回経産で,家族歴と既往歴で特記すべきことはなし.不正出血と尿閉を主訴として近医を受診し,子宮腟部の壊死と,細胞診でclass 3aを認め,平成15年2月19日に当科に紹介受診した.子宮腟部の細胞診はclass 1,腫瘍の組織検査では壊死性組織のみであり,腫瘍マーカーは,LDH 478U/l,CA125 26.7U/ml,IAP 1350μg/mlであった.3月27日に腫瘍の脱出感を認め,救急車で入院した.手拳大の易出血性で壊死性腫瘍が,子宮内腔から筋腫分娩様に脱出し,腫瘍の迅速組織検査でESSを疑う所見を認めた.3月28日に開腹手術(腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術)を施行した.腹水は認めず,子宮は460gであり,腹腔内に癒着や悪性を疑わせる所見は認めなかった.病理所見では,核型不整な紡錘型細胞が,分裂像,壊死,出血を伴って,浸潤,増殖しており,ESS,high grade,1b期であった.術後化学療法としてTTJ療法を選択し,患者同意のうえで,THP-ADM(35mg/m2),paclitaxel(175mg/m2),carboplatin(AUC=5)を,4週毎に6クール施行した.骨髄抑制(grade3),口内炎(grade1)の副作用を認めた.本法を平成15年5月15日に開始し,同年11月1日に終了した.現在,術後15ヶ月であるが,再発兆候は認めていない.更に文献的に考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
244-244, 2004
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