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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍/肉腫
急激な経過をたどった若年性子宮癌肉腫の1例


田中 逸人, 澁谷 裕美, 近藤 憲一, 野口 顕一, 塩川 滋達, 岩下 光利
杏林大学産婦人科


 子宮癌肉腫はまれな疾患である.今回我々は急激な経過をたどった若年性子宮癌肉腫の1例を経験したので報告する.症例は0経妊0経産の22才の女性.平成15年9月16日,不正出血を主訴,当科に初診.腟部スメアーclass II.子宮付属器とも正常大であった.月経不順を認めたため基礎体温を付けながら外来経過観察となった.平成16年1月27日に不正出血が続くため来院.クスコ診上,子宮口に直径2cmの腫瘍を認め筋腫分娩と考えた.性経験が認められないため,静脈麻酔下に腫瘍の捻除を行った.病理検査の結果は腺癌であった.十分なインフォームドコンセントを行い2月9日拡大子宮全摘術およびリンパ節郭清術を施行した.開腹所見では子宮は鶏卵大,付属器は正常.腹水細胞診はclass II.周辺臓器に著明な癒着はなく,完全に腫瘍を摘出し膣断端に腫瘍残存病変を認めなかった.病理検査の結果は,子宮体部の癌肉腫で骨盤腔内のリンパ節転移も認めなかった.手術後の経過は良好であったが,術後17日目不正出血を認めたため内診したところ腟断端より小指頭大の腫瘍を認め,病理検査の結果再発であった.本人家族とも抗癌剤または放射線治療は希望せず,その後急速に腫瘍は増大し,術後23日目には水腎症,27日目にはイレウスも併発した.加えて疼痛は出現しはじめ,29日目に麻薬管理となった.術後38日目には多臓器不全により死亡した.性経験の無い若年女性に発症し,術後早期に再発し死亡した子宮癌肉腫を経験したので若干の考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 245-245, 2004


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