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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍/肉腫 再発子宮体部癌肉腫に対して放射線療法が著効した2症例
島津 由加里, 深澤 宏子, 大森 真紀子, 奈良 政敏, 笠井 剛, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学産婦人科
【はじめに】再発子宮体部癌肉腫に対して放射線療法が著効した2症例を報告する.【症例1】60歳,2経妊2経産.帯下を主訴に近医受診し,内膜生検で腺癌を認め当院紹介となった.子宮体癌の診断で準広汎子宮全摘+両側付属器切除+骨盤リンパ節郭清術施行した.病理組織は癌肉腫,heterologous typeであり,洗浄腹水がclass Vのため,診断は子宮体部癌肉腫,stage IIIaとなった.術後IAP療法3クール施行し,外来管理としたが,術後1年のCTにて膀胱背側に2.5cm大の腫瘤を認めた.エコーガイド下の腫瘍生検で癌肉腫再発と診断した.他の部位に再発は認めず,再発部位に定位照射施行(6Gy×10回=60Gy)した.その後腫瘍は縮小し,術後2年のCTでは腫瘍は消失した.術後2年9ヶ月現在無病生存中である.【症例2】84歳3経産.不正性器出血にて当科受診し,体部腫瘍生検で子宮肉腫と診断され,単純子宮全摘+両側付属器切除術を施行した.病理組織は癌肉腫,heterologous typeであり,術後診断は子宮体部癌肉腫stage Icとなった.術後7ヶ月で膣断端に3cm大の腫瘍出現し,全身検索にて左鎖骨上窩にも3cm大の腫瘍を認め,病理検査にて転移と確定した.本人,家族と相談して経過観察としたが,その4ヶ月後膣断端の腫瘍が増大し,出血も出現したため,放射線療法施行した(小骨盤腔3Gy×15回=45Gy).放射線療法にて止血され,照射後4ヶ月で腫瘍は完全に消失した.現在術後1年6ヶ月で担癌生存中である.【結語】再発子宮体部癌肉腫の治療方針は確立していないが,放射線療法は有効な手段の一つと考えられる.再発部位によって照射方法を工夫することにより副作用が少ない治療効果の高い照射が実施できると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
245-245, 2004
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