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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
転移性卵巣腫瘍/他 卵巣腫瘍と鑑別困難であった悪性パラガングリオーマの一例
川島 秀明, 安田 豊, 高島 明子, 斉藤 智博, 深谷 暁, 三宅 潔, 矢野 ともね, 木下 俊彦, 伊藤 元博
東邦大学付属佐倉病院産婦人科
骨盤内腫瘍には様々な鑑別疾患があり,術前診断に苦慮することが多い.今回我々は術前診断が卵巣悪性腫瘍で手術施行したところ,非常に稀な疾患である悪性パラガングリオーマの一例を経験したので報告する.症例は84歳,3経産.主訴は下腹部膨満感.既往歴は高血圧,高脂血症.骨盤内に約10cm大の充実性腫瘍を認めた為,卵巣悪性腫瘍疑いで前医内科より当院紹介受診となる.初診時,超音波上10cm大の内部不整な腫瘍および少量の腹水を認めた.頸部,体部細胞診共にclassI,Douglas窩穿刺細胞診もclassIであった.腫瘍マーカーはCA125のみ1610U/mlと上昇を認めた.術前CT,MRIでは10cmを越す内部不整の腫瘤,腹水,左副腎に腫瘤を認めた.手術時所見は骨盤内腫瘍は小腸〜直腸を橋渡しする様な形で腸間膜に存在し,子宮,卵巣は正常であった.血性腹水3000mlを認めた.腫瘍は易出血性で腹腔内に無数の播種性病変が存在していた.大小8個の腫瘍のみ摘出した.術後病理所見で腫瘍は豊富な毛細血管網の間質により囲まれ,胞巣状の構造を認め,類円形の核と,細顆粒状,豊富な好酸性の胞体を認めた.上皮系マーカー(EMA,CK7,CK20)は陰性,非上皮性マーカー(Vimentin)が陽性,神経内分泌系マーカー(Synaptphisin,NCAM,NSE)が陽性であること,肉眼所見で壊死部分を認めること,播種性病変の存在から悪性パラガングリオーマと診断した.文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
246-246, 2004
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