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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
転移性卵巣腫瘍/他 AFP産生胃癌を原発とするKrukenberg腫瘍の1例
野村 秀高, 矢島 正純, 酒井 牧知子, 宮原 優子, 服部 美奈子, 樋田 一英, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
血中α-fetoprotein(AFP)が高値を示す卵巣腫瘍として最も頻度が高いのは悪性胚細胞腫瘍であるが,今回我々はAFPおよびTestosteroneが高値を示し,胚細胞腫瘍との鑑別を要した胃原発の転移性卵巣癌の1例を経験したので報告する.症例は33歳.既往歴:特記事項なし.家族歴:父親に胃癌と大腸癌の既往あり.患者は両側の乳房痛と腰痛を主訴に前医受診.両側性卵巣腫瘍を指摘され,当科に紹介受診となった.内診上,子宮は正常大で子宮の後側に双手拳大の腫瘍を触知,腫瘍マーカーはCA125 72U/ml,CEA 7.0U/ml,CA72-4 300U/ml,AFP 211U/mlといずれも上昇を認め,Testosteroneは118ng/dlと高値を示した.MRIでは10cm径および4cm径の両側性充実性卵巣腫瘍をみとめ,恥骨への骨転移も疑われた.また,左外転神経と顔面神経の麻痺などの中枢神経症状を認めており,頭蓋骨転移も疑われた.診断を確定するため直ちに手術を施行.開腹時,両側卵巣は超手拳大に腫大しており,胃の大弯側にひきつれが認められ,胃周囲のリンパ節腫大も認められた.胃癌の手術による根治性はなかったが,単純子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した.卵巣腫瘍の組織診断は転移性腺癌で印環細胞が認められた.胃の生検も同様の組織像を呈し,免疫染色によりAFP陽性であったことからAFP産生胃癌の卵巣転移と診断された.その後も全身転移など,全身状態は急速に悪化.4週間後よりDICを呈し,初診から約3ヵ月で死亡した.AFP産生胃癌は希であるが極めて予後不良とされ,胚細胞腫瘍との鑑別を要する症例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
248-248, 2004
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