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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1 卵巣癌に対する腹腔鏡手術12年後にport-site metastasisを来した一例
青木 宏明1), 高橋 絵里1), 国東 志郎1), 石塚 康夫1), 松岡 良衛1), 鶴岡 三知男1), 礒西 成治1), 中林 豊1), 杉田 元1), 木村 英三1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学付属第三病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)
腹腔鏡手術はその手術侵襲の低さから,世界的に良性腫瘍はもとより悪性腫瘍に対しても診断・治療の目的で適応が拡大される傾向にある.その一方で腹腔鏡手術後のTrocar挿入部への再発,いわゆるport-site metastasisをきたした報告が散見されるようになった. 今回,卵巣悪性腫瘍に対して二次的な腹腔鏡出術施行12年後にport-site metastasisによると思われる腹壁転移をきたした症例を経験したのでここに報告する.症例は39歳女性,0G0P,平成3年8月(27歳時)前医にて卵巣腫瘍に対して付属器摘出術施行したところ,術後病理検査にてserous adenocarcinomaが認められたため,当院紹介受診となった.腹腔内の観察を目的として二次的な腹腔鏡手術を施行したところ,腹腔洗浄細胞診陽性であったため,術後化学療法(CP療法)施行した.化学療法後の第二次試験開腹において,腫瘍細胞の消失が確認されたためその後外来にて経過観察していた.術後12年,平成15年3月(39歳時)臍部に腫瘤感を認めたため,腹部CT検査施行したところ腹直筋の腫大ならびに石灰化を認めた.腫瘍マーカーの上昇を認めず再発の確定診断は得られなかったが,腫瘤の増大を認めたため腹壁腫瘍切除ならびに腹腔内の検索を行った.病理組織検査にて腹壁腫瘍にserous adenocarcinomaを認め12年前の組織像に一致したため腹壁再発と診断された.腹腔内には肉眼的再発を認めなかったが.腹壁腫瘍断端陽性であったため,術後化学療法(TJ療法ならびにCJ療法)施行した.現在外来にて経過観察中であるが術後15ヶ月再発徴候を認めていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
249-249, 2004
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