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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1
腹腔内破裂を来した卵巣子宮内膜症性嚢胞に合併した卵巣明細胞腺癌の2例


有村 賢一郎, 梁 英治, 杉崎 聡一, 林 崇, 佐藤 智之, 小泉 仁嗣, 竹下 茂樹, 布施 養慈, 綾部 琢哉, 冲永 荘一
帝京大学産婦人科


 今回我々は,合併する卵巣子宮内膜症性嚢胞の破裂により急性腹症となった卵巣明細胞腺癌の2例を経験したので報告する.症例1は,46才,右下腹部痛で入院.ダグラス窩の腫瘤像と液体貯留が認められ卵巣嚢腫破裂の診断で緊急開腹した.右卵巣は直径10cmに腫大し2カ所破綻していた.術中迅速診断で卵巣癌が疑われたが緊急手術であったため,単純子宮全摘術,両側附属器切除術,大網部分切除のみを施行.永久標本で明細胞腺癌と診断されたため,CPT11-CDDPの化学療法を2コース施行後,骨盤内・傍大動脈リンパ節郭清術を行った.術後化学療法を4コース追加し,現在外来で経過観察中である.症例2は50才,突然の上腹部痛で発症し,腹膜刺激症状が強く巨大な附属器腫瘤と肝臓周囲までの腹水を認め緊急入院.即日開腹すると茶褐色の腹水と小児頭大の破裂した卵巣腫瘍を認めた.肉眼的には癌が強く疑われたため単純子宮全摘術,両側附属器切除術を施行.病理組織検査で充実性部分が明細胞腺癌と診断されたため,CPT11-CDDPの化学療法を3コース施行の後,骨盤内・傍大動脈リンパ節郭清,大網部分切除を追加した.術後化学療法を予定している.卵巣明細胞腺癌は子宮内膜症性嚢胞を合併する場合があり,今回の症例のように卵巣癌でも自然破裂し急性腹症を呈することがある.大きい卵巣腫瘍の破裂の場合は悪性腫瘍も念頭におく必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 251-251, 2004


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