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【原 著】
先天性副腎過形成合併妊娠の1例
田中 明子, 茂田 博行, 神田 義明, 吉田 浩, 杉浦 賢, 長田 久文
横浜市立市民病院産婦人科
今回我々は,経腟分娩しえた21-ヒドロキシラーゼ欠損による先天性副腎過形成合併妊娠の1例を経験した. 症例は,31歳,0回経妊0回経産婦.7歳頃より男性化徴候が出現し先天性副腎過形成と診断されたため,ハイドロコーチゾンの内服を開始した.11歳で初経を認め,月経は28日周期で順調に経過した.ハイドロコーチゾン25mg/日でコントロールされていた状態で,1999年3月14日を最終月経として妊娠し,妊娠6週より当院で妊婦健診を施行したが,その経過中,テストステロン,副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone,以下ACTHとする)および17-ヒドロキシプロゲステロン(17-hydroxyprogesteron,以下17-OHP)が上昇したため,35週よりハイドロコーチゾンを30mg/日に増量した.また,妊娠31週にて妊娠糖尿病と診断されたが,食事療法(1,600kcal,6分食)によって良好にコントロールされた.12月2日(37週4日)陣痛発来し,12月3日(37週5日)正常経腟分娩となった.児は,2,645g,女児,アプガースコア(1分後)9点であった.分娩後は,母児ともに順調に経過し,産褥5日目に退院となった.
Key words:congenital adrenal hyperplasia, congenital adrenogenital syndrome, pregnancy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 37(4)
407-410, 2000
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