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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩3 切迫早産管理中に神経・筋症状を呈した2症例
永田 知映, 杉浦 健太郎, 高橋 絵理, 梅原 永能, 和田 誠司, 池谷 美樹, 大浦 訓章, 恩田 威一, 田中 忠夫
東京慈恵会医科大学産婦人科
切迫早産で収縮抑制剤を投与中に患者が脱力感や筋痛・筋のこわばりを訴え,CPK上昇などの検査所見を認めた場合,収縮抑制剤の副作用を疑うことが多い.切迫早産管理中に神経・筋症状を呈した2症例を経験したため,文献的考察を加え報告する.(症例1)35歳0G0P子宮頸癌1a1期のため子宮頚部円錐切除後自然妊娠.妊娠17週4日頚管短縮(26mm)を認め頚管縫縮術施行,術後より塩酸リトドリンの経静脈投与を開始した.投与3日目より筋のこわばり,筋痛,歩行困難(脱力)を訴え,CPK 1354U/ml,ミオグロビン690ng/mlと筋融解を示唆する所見を得た.塩酸リトドリンによる薬剤性横紋筋融解症と判断し,投与中止したところ症状および検査所見は正常化した.(症例2)31歳,1G1P(母児ともに経過異常なし)自然妊娠.妊娠32週3日,羊水過多症と切迫早産のため搬送入院.羊水穿刺(1000ml)施行し,硫酸マグネシウムを投与したところ,筋肉のこわばりと全身倦怠感(脱力)・呼吸抑制が出現.当初マグネシウム中毒を疑ったが,CPK777U/ml,ミオグロビン140ng/mlと高値,血清Mg2.0と低値であったため,神経・筋肉疾患を疑った.理学所見と詳細な問診聴取より筋緊張性ジストロフィーが強く疑われた.マグネシウム中止で症状は改善したが,羊水量のコントロールが不能になり,34週0日帝王切開施行した.切迫早産管理中の脱力感や筋のこわばりは副作用として注意すべき症状であるが,基礎に何らかの疾患がある可能性を考慮し,注意深い観察と問診を行う必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
175-175, 2005
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