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【原 著】
腹腔鏡下手術による子宮外妊娠治療の現状
小林 信一, 豊泉 孝夫, 鈴木 純子, 斉藤 一, 雀部 豊, 平野 孝幸, 前田 光士, 大屋 敦
東京都立荏原病院産婦人科
子宮外妊娠の診断は経腟超音波機器の発達と普及などにより妊娠初期での診断が可能となり,妊娠初期の無症状の時期での診断により腹腔鏡下に治療される症例が多数報告されている.臨床上では腹腔内出血による緊急の処置を必要とする症例は減少し,多くは妊娠初期の腹腔鏡下での処置により,妊孕能が保存される術式が選択されている.都立荏原病院においても開院以来,子宮外妊娠に対する治療として腹腔鏡下での処置を推進し,その現状について検討した.1994年10月の開院時より1999年12月31日までの分娩数は4,165例であり,この間に子宮外妊娠と診断された症例は39例であった.この中で腹腔鏡で処置した症例は21例,開腹手術により対応した症例は17例,腹腔鏡下での止血が困難なため開腹手術に至った症例が1例であった.腹腔鏡で処置した症例では手術による侵襲が少なく,早期の退院が可能であり,技術的な問題も考慮しなければならないが,早期診断が可能な現状では開腹手術よりも優れた処置方法として確立されたものと考えられた.
Key words:Laparoscopy, Ectopic pregnancy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 37(4)
423-426, 2000
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