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【原 著】
重症先天性横隔膜ヘルニアに伴いstuck twinとなったDD twinの治療経過
岡本 三四郎, 松田 秀雄, 笹 秀典, 黒田 浩一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科
stuck twinは通常,1絨毛2羊膜性双胎(以下MD twin)でみられることがあるが,2絨毛2羊膜性双胎(以下DD twin)でみられることは稀である1). DD twinでstuck twinとなった場合は児の予後は特に不良であると考えられ,早期の産科的介入を余儀なくされることが多い.今回,妊娠28週で発症したと推定される1児の重症先天性横隔膜ヘルニアに伴う著しい羊水過多が原因で他方の児のwell-beingが危機的となり,頻回多量の羊水穿刺を必要とした症例を経験したので報告する.(症例)31歳,0経妊0経産.他医にてクロミッド-hCG・AIH療法にて妊娠.妊娠27週5日に胎児発育不均衡ありにて当院紹介入院.2絨毛2羊膜性双胎.入院時現症:胎児推定体重762 gと1,549 g でDiscordant Index 55%.LGA(large for gestational age)児に著しい羊水過多を認め,先天性横隔膜ヘルニアを認めた.SGA(small for gestational age)児は著しく羊水過少であり,臨床的stuck twinと診断した.新生児期の先天性横隔膜ヘルニア手術を考慮に入れ,妊娠継続を最優先とした.LGA児の羊水吸引術やAmnioseptostomyを施行した.SGA児側の羊水が充足するとともに胎動,胎児筋緊張の回復がみられた.しかし,その後LGA児に急激な羊水増量をきたし,断続的に総量7,000 mlの羊水吸引術を余儀なくされたが,妊娠32週0日,帝王切開術で生児を得た.一方の児の著しい羊水過多が原因で子宮内圧が上昇し,他方の児が発育不全となり子宮内圧を下げるために,頻回で多量の羊水穿刺を必要とした症例を経験したので症例を通じて得た知見を文献的考察とともに報告する.
Key words:Stuck twin, Diaphragmatic hernia, Amnioseptostomy, Amniocentesis
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(4)
409-412, 2003
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