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【原 著】
PaclitaxelとCarboplatinのTJ化学療法が奏効した子宮癌肉腫の骨盤内再発の1例
塩原 茂樹, 林 晶子, 今井 努, 伊東 和子, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学医学部産科婦人科学教室
子宮癌肉腫は稀な腫瘍であり,特に進行症例では治療が困難とされる.今回我々は,開腹手術時にダグラス窩に播種性病変を伴ったFIGO IIIa期の子宮癌肉腫の患者において,術後まもなくみられた腹膜上の再発腫瘤に対して,paclitaxelとcarboplatinを用いたTJ化学療法によって腫瘤の消失をみた1例を経験したので報告する. 患者は62歳で,子宮全摘術,付属器切除術およびダグラス窩の播種病変を可及的に切除し,肉眼的な残存は認めなかった.摘出物は病理組織学的にgrade3の類内膜腺癌と,平滑筋肉腫および軟骨肉腫からなる肉腫成分を認め,子宮体部原発の癌肉腫と診断した.ダグラス窩の播種病変は癌腫より成っていた.術後,1か月の骨盤部MRI画像上で腟断端付近の腹膜上に径4.5 cmの腫瘤を認め,再発(残存腫瘍の再増大)と診断した.TJ療法を6コース施行したところ,腫瘤の完全消失をみた.治療終了後,26か月を経過したが,再発はみられず健在である.子宮癌肉腫の再発に対しては,paclitaxelとcarboplatinによるTJ化学療法が有効である可能性が示唆された.
Key words:carcinosarcoma, uterus, paclitaxel, carboplatin
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(4)
449-456, 2003
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