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【原著】
子宮より発生した小細胞癌の3例
鈴木 啓太郎, 福田 貴則, 松本 直樹, 田部 宏, 森 裕紀子, 西井 寛, 渡辺 明彦, 落合 和彦, 田中 忠夫*
東京慈恵会医科大学附属青戸病院 *東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
子宮に発生する小細胞癌は稀な腫瘍である.今回我々は子宮頸部発生の2例,子宮体部発生の1例を経験したので報告する.症例1:83歳,5妊4産,子宮頸癌の診断で紹介受診.子宮頸部組織診でsmall cell carcinomaと診断.内性器全摘施行し,子宮頸部小細胞癌(pT1bNxM0)と診断した.腫瘍の免疫染色はグリメリウス(−),NSE neuron specific enolase(−),クロモグラニンA(−),電顕的に神経分泌顆粒が認められた.術後放射線療法を行い,VP-16内服中であるが16か月を経過して再発を認めない.症例2:70歳,1妊1産,不正性器出血を主訴に受診.子宮頸部組織診でsmall cell carcinomaと診断.前縦隔および左鎖骨窩リンパ節転移を認め,子宮頸部小細胞癌stage IVbと診断した.CAP療法の後,放射線療法,5-FU内服するも,11か月で癌性胸膜炎により死亡した.症例3:53歳,2妊2産,大量性器出血を主訴に受診,子宮体癌の診断で準広汎子宮全摘,両側附属器摘出術,大網部分切除術,骨盤リンパ節生検および直腸低位前方切除術施行,子宮体部小細胞癌(pT3aN0M1)と診断した.腫瘍の免疫染色は,NSE(+),クロモグラニンA(−),電顕的に神経分泌顆粒が認められた.CBDCA,VP-16併用化学療法を施行するも術後3か月で癌性胸膜炎,癌性腹膜炎により死亡した.
Key words:Uterus, Small cell carcinoma, Immunohistochemistry, Electron microscopy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(1)
3-7, 2004
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